お口の中のデキモノ
「口の中に小さな白いデキモノができて、お醤油や熱いものがしみて痛い」
「歯茎にぷつっとしたニキビのようなおできができて、なかなか治らない……」
「お口の中に黒いシミや赤い腫れがあるけれど、もしかして大きな病気だったらどうしよう」
ハミガキをしているときや、鏡でふとお口の中を見たとき、普段は見慣れない「デキモノ」や「腫れもの」を見つけると、とても不安になりますよね。
特にお口の粘膜は非常にデリケートな場所ですから、ちょっとしたおできがあるだけでも、お食事のたびに痛んだり、舌が触れて気になったりと、日々の生活の中で大きなストレスになってしまいます。
インターネットで「口の中のデキモノ」「口腔がん」などと検索してしまい、怖い情報ばかりが目に入って、ますます心配が膨らんでしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当グループ(江北・豊島・東十条)では、患者様が抱えるそうした日々の不安や恐怖心に寄り添い、お口の中全体の健康を丁寧に見守る診療を行っています。
日常的によく見かける症状
お口の中にできるデキモノの多くは、日常的なケアや適切な治療によって健やかな状態へ戻せるものです。
まずは、私たちが日々の診療で出会う機会が特に多い、2つの代表的な症例について詳しく解説します。
誰もが一度は経験する「口内炎(アフタ性口内炎)」
お口のデキモノの代表格といえば「口内炎」です。
最も一般的なものは「アフタ性口内炎」と呼ばれ、中央が白っぽく、周りが赤く腫れた丸い形をしています。
原因
体調不良や睡眠不足による免疫力の低下、ビタミン不足、ストレスなどが主な引き金になります。
また、ハブラシが強く当たってしまったり、うっかりご自身の頬や唇を噛んでしまったりした傷口から細菌が繁殖して口内炎になることもよくあります。
当院での対応
通常は1週間から10日ほどで自然に治ることが多いですが、痛みが強くてお食事が摂れない場合は、粘膜を保護して炎症を優しく抑える軟膏(塗り薬)や、お口の中を清潔に保つうがい薬を処方いたします。
また、尖っている歯の角や、合わなくなっている被せ物、入れ歯のバネが粘膜に擦れて何度も口内炎を繰り返しているケースでは、原因となっている部分を滑らかに調整する誠実な根本治療を行います。
歯茎にできるニキビのようなおでき「フィステル(瘻孔:ろうこう)」
「歯茎にぷつっとした白いおできができて、潰れると膿や血が出るけれど、痛みが引くと治ってしまう」という症状を経験されたことはありませんか?
これは「フィステル」と呼ばれる、お口の中特有のデキモノです。
原因
これは歯茎そのものの病気ではなく、実は「歯の根っこの先」に溜まった膿が、骨を突き破って外に出てくるための出口(通り道)です。
過去に神経を抜いた歯の内部で細菌が再感染を起こしていたり、虫歯が非常に深く進行して神経が自然に死んでしまったりしたときに、根の先に「根尖病巣(こんせんびょうそう)」という膿の袋が作られることで発生します。
当院での対応
フィステルは、表面のおできを潰しても根本的な解決にはなりません。
当院では、歯科用CTやレントゲンを用いて原因となっている歯の根っこを精緻に特定し、歯の内側をお掃除して除菌する「根管治療(こんかんちりょう)」を丁寧におこないます。
根の奥がきれいに整えば、歯茎のおできは自然と消えていきます。
知っておきたい、その他のお口の粘膜疾患
お口の中には、歯だけでなく「粘膜(頬の内側、舌、上あご、唇など)」があり、ここには口内炎以外にも様々な病気(粘膜疾患)が生じることがあります。
その一部をご紹介します。
口腔カンジダ症
お口の中に元々住み着いている「カンジダ」という真菌(カビの仲間)が、身体の抵抗力が落ちたときなどに過剰に増殖してしまう病気です。
頬の内側や上あごに、レースのような白い苔(こけ)のようなものが付着します。
この白い膜は、ガーゼなどでこすると剥がれるのが特徴で、剥がした後は赤く腫れてヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
特に、入れ歯のお手入れが不十分な方や、抗生物質を長期間服用されている方、免疫力が低下しているご年配の方に見られることがあります。
白板症(はくばんしょう)
お口の粘膜(特に舌の脇や頬の内側)が、擦ってもどうしても剥がれない、はっきりとした白い板状のシミのようになる病気です。
初期にはほとんど痛みがありません。
タバコによる慢性的な刺激や、お口に合っていない入れ歯、尖った歯が常に同じ場所に当たり続けることなどが原因と考えられています。
この白板症は、医療の世界で「前がん病変(がんになる前段階の病気)」に分類されることがあるため、見つけた場合は放置せず、定期的に慎重に経過を観察していく必要があります。
紅板症(こうばんしょう)
お口の粘膜が、境界がはっきりとした鮮やかな赤色の斑点状になる病気です。
白板症と同様に、慢性的な刺激などが関係していると言われていますが、白板症よりもがん化するリスクがやや高いとされているため、特に注意深く診査・診断をおこなう必要があるデリケートな疾患です。
粘液嚢胞(ねんえきのうほう)
下唇の内側や舌の裏側などにできやすい、ぷっくりとした丸く柔らかい水ぶくれのようなデキモノです。
お口の中にある小さな唾液の工場(小唾液腺)から分泌される唾液が、何らかの原因で詰まってしまったり、粘膜を噛んだ傷によって周囲の組織に漏れ出したりして、袋状に溜まってしまうことで起こります。
痛みが少ないため放置されがちですが、何度も再発を繰り返す場合は、原因となっている小さな唾液腺ごと優しく摘出する小手術をおこなうことがあります。
主な口腔粘膜疾患の特徴と対応(一覧表)
| 症状・疾患名 | 主な特徴 | 当院での対応・注意点 |
|---|---|---|
口内炎(アフタ性口内炎) |
白っぽい潰瘍の周囲が赤く腫れ、食事や会話でしみることがあります。 |
多くは1〜2週間で自然治癒します。痛みが強い場合は軟膏やうがい薬を処方し、原因となる刺激があれば調整します。 |
フィステル(瘻孔) |
歯茎にニキビのようなおできができ、膿が出たり治ったりを繰り返します。 |
歯の根の感染が原因のため、根管治療など原因歯への治療が必要です。 |
口腔カンジダ症 |
白い苔のような付着物ができ、剥がすと赤くヒリヒリすることがあります。 |
抗真菌薬による治療や、お口・入れ歯の衛生管理の改善を行います。 |
白板症 |
擦っても取れない白い斑点や白色病変がみられます。 |
前がん病変の可能性があるため、定期的な経過観察や精密検査を行います。 |
紅板症 |
鮮やかな赤色の病変が現れます。 |
がん化リスクが比較的高いため、慎重な診査・必要に応じて専門医療機関へ紹介します。 |
粘液嚢胞 |
下唇などにできる柔らかい水ぶくれ状のデキモノです。 |
経過観察を行いますが、再発を繰り返す場合は摘出処置を検討します。 |
口腔がん(疑い) |
治らない潰瘍、しこり、出血、白斑や赤斑などがみられます。 |
早期発見が重要です。必要に応じて病理検査や専門医療機関への紹介を行います。 |
注意:もしかして?と思ったら知っておきたい「口腔がん」のサイン
お口の中にできるデキモノの多くは良性ですが、稀に「口腔がん(こうくうがん)」という、命に関わる重篤な病気であるケースが存在します。口腔がんは、初期の段階では一般的な口内炎と見た目が非常によく似ているため、ご自身で判断することはとても困難です。
皆様の大切な健康を守るために、当院から以下のような「危ない症例の注意サイン」をお伝えさせていただきます。
口腔がんを疑うべき5つのチェックポイント
「2週間以上」経っても、いっこうに治らない口内炎がある
デキモノの境界がギザギザしていて不鮮明で、触ると周囲が硬い感じがする
痛みがほとんどないのに、おできの表面からジュクジュクと出血したり、ただれたりしている
舌の脇や裏側、お口の粘膜に白いシミや赤い斑点が広がってきた
あごの下や首の周りのリンパ節が、コリコリと硬く腫れていて、触っても動かない
通常の口内炎であれば、体調が整えば1〜2週間程度で自然に回復していきます。しかし、上記のような症状が続く場合は注意が必要です。
お口のがんは、ご自身で鏡を使って直接目で見ることができる数少ない「がん」の一つです。
少しでも「おかしいな」「いつもの口内炎とは違うな」と感じられたら、決して怖がったり我慢したりせず、すぐに私たちを頼ってください。
早期に発見し、適切な対応をとることが、何よりも確実な安全への近道です。
健やかな安心のために:高水準な医療を提供する「医科歯科連携」
お口の中のデキモノや粘膜の異常を診察した際、より精密な細胞の検査(病理組織検査)が必要であると診断した場合、あるいは高度な外科手術が必要であると判断した場合には、当院だけで治療を完結させようと無理をすることはありません。
当グループでは、総合病院の「口腔外科」や「大学病院」といった専門の医療機関と、緊密で誠実な「医科歯科連携(いかしかれんけい)」の体制を整えています。
スムーズな紹介状の発行と連携システム
地域の基幹病院や大学病院の専門ドクターと密にコミュニケーションを図り、紹介状(診療情報提供書)を迅速に作製して、信頼できる高度医療機関へ責任を持ってスムーズにご案内いたします。
役割分担を明確にし、専門のチームにバトンを正しく繋ぐことこそが、患者様の未来の笑顔を守るための最善の医療であると、私たちは考えています。
病院での専門的な加療が落ち着いた後は、再び当院にて、お口全体の細やかなメンテナンスや日常のケアを優しく継続して担当させていただきます。
最後に:どんな小さなお悩みでも、丁寧に診察いたします
お口の中のデキモノは、ご自身では見えにくく、判断に迷うのが当然です。
「これくらいで診てもらうのは恥ずかしい」などと思わずに、どうぞ私たちの医院を頼ってください。
「口の中に気になる白いシミがある」
「歯茎のおできが治らなくて、気になっている」
そんなご不安も、どうぞ一人で抱え込まずに一度、私たちの医院にご相談ください。
あなたがこれからの毎日を何の心配もなく、健康な笑顔でお食事を楽しめるように、ドクターとスタッフ一同、全力でサポートいたします。
皆様のご来院を、心よりお待ちしています。

